Fragrance of Notes mama!milk

[Vinyl]
[ LP ] DS-001
15曲収録 / 180g重量盤
[CD]
[ CD ] wb21
14曲収録
[Digital]
[ DIGITAL ] https://ssm.lnk.to/FoN
2020年1月27日 配信開始

フレグランス・オブ・ノーツ

抑制 と ゆらぎ。
成熟 と ふらつき。
重く滴る果実の豊潤を思わせる音楽。
したたかな抒情は胸さわぎをよびおこす。

アコーディオン、コントラバス、トロンボーン、フルート、テルミン、ピアノ、ドラムが映し出す、
幻燈のような美しさ。

[[ BBC radio 1 Gilles Peterson’s Worldwide Awards 2009 “Jazz Album of the Year 2009” ]]
[[ J-Wave Winners 2008 on WORLDWIDE 15 ]]


[ 収 録 楽 曲 ]

1. kujaku
2. antique gold
3. hourglass
4. the moon
5. intermezzo,op.32
6. avant fermentation
7. anise
8. rosa mundi
9. smoky dawn
10. rosa moschata
11. two ripples
12. mano seca
13. sometime sweet
14. waltz, waltz

pale anise ( ※LPのみ収録 )

all compsitions written by Yuko Ikoma, Kosuke Shimizu


[ 演 奏 ]

mama!milk
生駒祐子 アコーディオン
清水恒輔 コントラバス

Musicians
Gak Sato テルミン
井登 友一 フルート, トロンボーン
トウヤマタケオ ピアノ
栗原 務 ドラム

Recorded, Masterd by
林 皇志 ( Sience Audio Recording )
中田 宏
田中 航太

Art direction by
植原亮輔
飯田郁

 

Topics 2020

mama!milk Fragrance of Notes LP Vinyl
「Fragrance of Notes」のLPレコード盤が、2020年に復刻されました。
2008年に限定盤として発表、長らく入手困難とされていた初回版と同じく、180g重量盤でお楽しみいただけます。

 

[ LP盤 収 録 楽 曲 ]

side A
1. rosa moschata
2. avant fermentation
3. antique gold
4. pale anise ( ※LPのみ収録 )
5. anise
6. intermezzo,op.32
7. kujaku
8. hourglass
9. mano seca

side B
1. rosa mundi
2. smoky dawn
3. the moon
4. two ripples
5. sometime sweet
6. waltz, waltz

[ review ]

京都のアコースティック・インストゥルメンタル・デュオ、mama!milkのカタログの中でも傑作と評判の高い、「Fregrance of Notes」(2008)のアナログLPが2020年に復刻され、入荷してまいりました。
ジャイルズ・ピーターソンの選ぶWorld Wide Awards “Jazz Album of the Year 2009″にも選出された作品です。
アコーディオンとコントラバスの憂いを帯びた音色と旋律、綿密に練られた繊細なアンサンブル。
レコーディングのロケーションや空間、また機材環境にも配慮された崇高な美学の結晶が本アルバムであると言えます。
センチメントなワルツから、タンゴやコンテンポラリー・ジャズの影響を感じさせるシネマティックな世界観は、適材適所でゲスト・プレイヤー、ガク・サトウ(thermin)、井登友一(tb, flute)、トウヤマ・タケオ(p)、栗原務(drs)が参加することにより、叙情的なだけでなく、儚く耽美な印象をも聞くものにもたらしています。
当店ではリリース当初、CDでの扱いでしたので、冒頭”Kujaku”が”Rosa Mochata”に変わっていたり、アナログで曲順の並びが変更されていたり、一曲増えていたりという制作側の細やかな気配りにもアーチストとしての気概を感じます。

大洋レコード
http://taiyorecord.com/?pid=151907503

 

最高!ジャズやタンゴ、クラッシック、サントラなどの様々な要素を感じさせてくれるサウンドが人気の生駒祐子(アコーディオン)と清水恒輔(コントラバス)によるmama!milkの4作目(2008年作)!
本作はアコーディオン、コントラバスに加えて、トロンボーン、フルートに井登友一、テルミンにGak Sato、ピアノにトウヤマタケオ、ドラムに栗原務を迎えて制作された作品となります!
ジャズやタンゴが内包するヒップでデカダンスな感覚を存分に詰め込んだ丁寧かつ繊細なアンサンブルがとにかく絶品!
古き良きジャズやボサノヴァ、タンゴ、フラメンコなどと通底する官能と感傷が同居している世界観を極めてモダンな感性で捉えたような凄味が感じられますよ!
また、甘美に揺らぐ音が幻燈のような美しさを醸し出していて◎!
聴き込むほどに音の響きや細部に宿る細やかな感性に魅了されます!優雅と退廃に酔える大傑作です!大推薦!

土着と洗練を楽しむ音楽専門店「レコンキスタ」 Record Shop “Reconquista”
https://www.reconquista.biz/SHOP/DS001.html

 


photo by Takuya Satake @ Remza 2014

Topics 2008


photo by syasinger-z @ Hara Museum of Contemporary Art, Japan 2008

[ RECOMMENDATION ]

音楽が編み上げられてゆく生々しいさまが、まるで織物の仕上がって いく行程をみるかのよう。

音色は澄んでるのに、質感は廃墟的だったりという不思議さは、
きっと、質的な意味でのアンサンブルが一貫して突き詰められているか らだと思うんです。
その妖艶に満ちた音楽空間は、迫真性にみなぎっています。

lete 町野伸太郎


When I met yuko the first time, it was in a hotel in tokyo
and having these little pieces of conversation in mind
and the even stronger impression of her elegant appearance makes this record very special for me.
It seems to bring back these pictures of a very short but intense moment
and i think the music of mama!milk has exactly this
it is changing between elegance,coolness but at the same time
the heart and the emotions of an intensive short moment
that will keep its footprint in your mind.
It leaves a lot of space for mindtrips
and also for connections in the own musical biographie.
during the listening while i was hearing the new mama!milk record
I was somehow found quotes in some europien countries
but at the same time it has this little difference that makes the music on
“fragrance of notes” outstanding for me.
At the end you will breath in and breath out
and you know that this record was not the last time in your cd-player.

Hauschka

彼女に最初に会ったのは東京にあるホテルのロビーでだった
短いけれども、心に残る会話をした
彼女のエレガントな風貌が残した印象はこのアルバムをより特別なものにする

とても短いけれども強烈な瞬間を想い起こさせる何かが
mama!milkの音楽にはある

エレガンスとクールネスを行き来しながら、
わずかな時間の間に去来する感情がたてる波紋のようなものを残したまま去っていく
余韻のなか泳ぐ心を残して
それは聴き手の個人的な伝記のようなものと結びつくものでもあると僕は思う

この作品を聴いていて、ヨーロッパのいくつかの国の音楽との親和性のようなものを見出したのだけど、細部の工夫・音色の香り ” Fragrance of Notes ” があきらかにそういったものとは違うものにしている

聴き終えて、深呼吸をする
そして気付くのだ
このアルバムを再び聴くことになると

Hauschka ハウシュカ


mama! milk
Fragrance of Notes によせて

音楽とは因果で、酔狂なものだ。 胸を焦がした思いの記憶が、 何くわぬ顔で炙りだされることがある。 5年ほど前のアルバム「Gala de Caras」を おさらいしていた。(といっても毎晩聴いているのだが) みぞおちに響く音量で聴きはじめると案の定、 追憶はオートマティックに身体を駆けぬけ、 ほとんど息をつく間もなく、終わった。

新しいアルバム「Fragrance of Notes」が 私をおそったのは違う企みだった。
じっくりと哀しみの極みまで沈めておいて ふわり、と浮かびあがる高揚とは モーツァルトの常套ではなかったか。

抑制 と ゆらぎ。
成熟 と ふらつき。

重く滴る果実の豊潤を思わせる音楽。
したたかな抒情は胸さわぎをよびおこす。

新しいアンサンブルはスリリングで、 空気の濃度や時間の流れをとろりと撹拌し、 楽器はしなやかな身体の一部と化してしまう。 紅い腹を見せて人を翻弄する、 いもりのようなアコーディオンのうねり。 迎えるコントラバスや鍵盤の役目は 守るようでいてむしろ切なさをあおり、 危うく音色ごとどこかへ運ばれてしまいそうだ。

きっと聴きこむうちにさまざまな思いが このアルバムと過ごす時間を 猥雑にいろどり、濃密に紡いでいくのだろう。
素面でこの音楽を聴くなかれ。 極上の音楽には、上質の酒が似合う。

(ちなみにこのアルバムに寄り添うのは わたしならこんなお酒とおつまみ。
オーク樽の薫りの白ワインには、蜂蜜をたらした洋梨とゴルゴンゾーラのタルト。
あるいはスパイシーな赤ワインには、京都の白味噌と東京の赤味噌を半々にまぜた味噌床に3日と半日漬け込んだクリームチーズ。もしくは上等のショコラ、とろける間際に。)

住吉 智恵 CHIE SUMIYOSHI アートエディター・ライター


あるかなしかの思い出のように
スノードームをひっくり返すと、深い海底のような小さな世界に、いきなり砂は雪になって降りはじめる。
不用意に聴いてしまったら、そんなミニアチュアの天変地異にあわてふためいて、手がかりもないまま立ちすくむ、あの感覚のめまいに襲われるだろう。
アコーディオン、コントラバス、トロンボーン、フルート、テルミン、ピアノ、ドラム・・・、国籍も、性別も、背格好もバラバラの寄り合いのような、付かず離れずのふしぎな親密さが、粗い糸を撚り合わせるようにして束ねられていく。裏通りの家の片隅の小さなラヂオから流れてくるような、透き間のあるゆったりとした音楽に、通りすがりの聞き耳を立てているうちに、ここではない、何処かへ、やさしく抱きかかえられて攫われていく。
いったい、何が起きているのか、耳で聴いたことを、landscapeとして想い描いてみるけれど、とてもじゃないが追いつかない。
習い性になっている視覚の優位さを、やさしく咎められているのか?かりそめの盲目になって、降り注いでくるものを浴びるしかなさそうだ。 たっぷりと雨の雫を葉っぱにためている、天にもとどきそうな大きなrain treeだからだ、惜しみなく流れてくる音楽は。
地平のむこうには、ときおり稲妻が走ったりするが、それでもmama!milkのキャラバンは往くだろう。
この隊商は、物を売ったりするのではなく、もっと’つつましい仕事’ーそれこそは愛の仕事だがー
小さい、よく馴染んだ楽器、あるいは口笛、あるいは風の音なども引き連れて、世界の果てまでさすらう。

mama!milkの音楽について、いうことがあるとすれば、それはたそがれに属するもので、さらにそれがあることで、日々の生活にbeautiful mess (美しいメチャメチャ/美しい不穏)を持ち込んでくれるひと抱えの花束のようなものだということ。
その中に、ミツバチがひそんでいたり、降ったばかりの雨の雫がついていたりするかもしれないが。
底なしに甘やかで、サスペンスフルな、よるべない、真っ逆さまの墜落のような、さすらいの旋律!
かたくなに思い出を持つまいとする都市のやさぐれイヌたちも、やがてうろつくかもしれない路地を、鼻をこすりつけて嗅ぎまわるだろう、あるかなしかの思い出のように。

佐伯誠


アコーディオンとコントラバスによる室内楽ユニット、mama!milk 5年振りとなる待望のニューアルバム。クラシカルで気品溢れる、二人の演奏に、ゲストとしてテルミンやトロンボーン、ピアノを迎える事によってより深化した、時代も場所も超越した映画のサウンドトラックのような仕上がりに。録音時のマイクや機材にもアナログなこだわりを持ち、リスナーが演奏者と同空間にいるかのような錯覚を起こす、暖かみの在るサウンドを構築しています。聴くもののイマジネーションを無限に広げてくれる幻灯機を覗き込むような音楽体験。

恵文社一乗寺店 堀部篤史


孤高のデュオが贈る、香り豊かな珠玉の作品集

 なんというふくよかな音だろう。生駒祐子と清水恒輔からなる、アコーディオンとコントラバスのユニットmama! milk。97年より京都をベースに活動を続けてきた彼らの5年ぶりとなるニューアルバム『Fragrance of Notes』が発表された。Ego-Wrappin’や二階堂和美などバラエティに富んだアーティストとのコラボレーションを続けながらも、孤高とも言えるスタンスで活動を続けてきた彼らの音楽は、ジャズやクラシック、映画音楽、タンゴ、オルタネイティブ・カントリー……そんな音楽たちが次々と浮かんでは消え、その独創性に多くのミュージシャンからシンパシーと賛辞を寄せられている。
今回のレコーディングは、ゲスト・ミュージシャンとしてGak Satoのテルミン、井登友一のトロンボーン/フルート、トウヤマタケオのピアノ、Double Famous/LITTLE CREATURESの栗原務をドラムに迎え、1曲をのぞき8チャンネルのアナログ・レコーダーで録音され、ダビングもほとんど施されていないという。お手軽な音楽ばかりがはびこる今の時代に見事に逆行した彼らの姿勢は、プレイヤーたちの息づかいを生々しく捉え、ギリギリまで絞り込まれた音の共振を紫煙のような音として闇のなかに立ち上らせる。とはいえ、現代音楽の持つエクスペリメンタルな要素、またはアヴァンギャルドなムードというよりも、未知の音楽はきっとこんななにげない空気から生まれてくるのだろうな、そんな安堵感さえ与えてくれる。それはきっと、ライヴハウスのみならずカフェやバーなど様々なヴェニューでライヴ・パフォーマンスを続けることで、日常に浮かんでくるノスタルジーやはかなさを独自のスタイルでフレーミングしてきた彼らだからこそ可能である行為に違いない。薫り高いインセンスのような、神秘的だけれども親しみの深い世界をぜひ堪能していただきたい。

駒井憲嗣…..for BG MAGAZINE Vol.58


想像を掻立てられ、瞬間(とき)を止める “おと”

沈黙とは異なる静寂のなかで静かに燃え上がる暖炉の炎のような情念が聴く者のこころを焦がしてしまう大人の音楽。いち音楽愛好家として彼らの虜になってからどのくらい経つのだろう。
そんな彼らの5年ぶりのアルバム『Fragrance of Notes』が今年のうだるような暑さが一段落したのとほぼ時をおなじくしてリリースされた。

彼らの作品ではお馴染みのリトル・クリーチャーズの栗原努(ドラム)、トウヤマタケオ(ピアノ)をはじめ、ミラノのRight Tempoで10年以上にわたって活躍したGak Sato(テルミン)そして井登友一(フルート/トロンボーン)を客演に迎えて編み出された14編の叙情詩はかつて見たことのない、しかしどこか懐かしい遠い記憶を辿る様な音絵巻。 それは鈴木清順監督の浪漫三部作のように独特の美に彩られた傑作だった。

どこまでも冷静に推し移っていくコントラバスに、あやしいほどになまめかしい美しさで挑発して絡み合うアコーディオン。そのエロティックなプレイに微笑み、そして呼応する他の楽器たち。 時を忘れいつまでも続くその交わりから湧き出る内なるエクスタシー。

私にとってこのアルバムはこれから秋に向かい少しづつ移りゆく景色の中で過ごす毎日に欠かせないサウンドトラックとなるだろう。

松浦俊夫….for web magazine OPENERS

 


mama!milk ニューアルバム・レコーディング

今回のレコーディングには1曲を除いて8チャンネルアナログのレコーダーを使用しています。またスタジオのメインブースに全ての楽器をセッティングし、同時に演奏した物を最低限マイクで録音しています。そして、ほとんどダビング作業も行っていません。使用したマイクの中には40年以上前のヴィンテージのリボンマイクも数本使われていますが、これはいわゆるローファイサウンドを求めた訳ではありません。ここ数年リボンタイプの物が見直されて各社から新しいモデルが出ていますし、ナチュラルに収録出来るため普段から多用しています。しかし古い機材を使用するにはメンテナンスの為のコストや、各機器のマッチングなど、ある程度知識や技術も必要になります。
今回使用したアナログレコーダーはOTARIという国産のメーカーの80年代の物ですが、メーカーのサポートが終了しているため消耗部品さえも国内で入手出来ません。数年ぶりに、使用するためにスタジオに持ち込んだ時にはメンテナンスの必要があったので、アメリカの友達に手配してもらい互換部品を輸入し交換しました。また、テープも数年前にアメリカの大手メーカーが製造をやめたため国内では現在入手出来なくなっていました。唯一製造しているオランダのメーカーの物を輸入している代理店より入手出来ましたが、注文して届くまでに数週間かかるなど、実際使用するには問題だらけで簡単な事ではありませんでした。
普通に考えれば、ここまで手間やコストをかける必要があるのかと思う所ですが、今回のアルバムの録音の音についてmama!milkのメンバーと話をしていた時に、祐子さんが『昔、大好きでずっとカセットテープで聞いていたクラッシックの曲があって、そのアルバムがCDで再発された物を聞いたら全然音が良く無くてがっかりした』とか、参考音源など聞かせてもらったものの多くがアナログテープで録音されたものだった事、そして彼女が『好きな音のCDにはよく聴くとサーというヒスノイズが聞こえる』と言った一言が重要なポイントだと感じたからです。久しぶりにテープレコーダーに録音していると何か現場のテンションも上がります。
普段使用している最新のデジタルの録音機材のクオリティーに不満を感じる事はほとんどありませんし、テープレコーダーのサウンドのシミュレーションするエフェクターなどもありますので、これらの物を使う事も考えられました。しかし音質以外にも録音チャンネル数や収録時間の制限などをあえて設けた点などが適度な緊張感の中で素晴らしい演奏を生み出している部分もあると思います。聴いた人が演奏者と同じ空間にいるように感じてもらえるのではないでしょうか。

林 皇志 (silence audio recording)



[ windbell press release ]

よりしなやかに、より繊細に
この馨しさ、優美さ

柔らかい音空間の限りないグラデーション
余韻がふわーっと空気の中に融け込み、ゆっくりと消えていく

すべてを断ち切り、しばし音楽に溺れる
そんな時間を約束してくれる、馨しき音楽

音色の香り、気配の香気、香りの記憶・覚書
「刺激を運ぶもの」をなんと言う?

オリジナル・アルバムとしては前作「Gala de Caras」以来 5年ぶり、4枚目となるアルバム
アコーディオン、コントラバス、トロンボーン/フルート、テルミン、ピアノ、ドラムが映し出す幻燈のような美しさ

mama! milk の音楽はアコーディオンとコントラバスの対話、近づきがたいほどの緊張感と親密さをもってオーディエンスと向き合うパフォーマンスからはじまる

ひとつの想いをひとり静かに辿るかのような余韻に富む楽想、こまやかな音符のひだが彼らならではの雰囲気をたちあげ、静かに広がっていく香りのように空気を満たす。アコーディオンを弾く生駒祐子が書く甘美な曲の数々はいよいよ逢魔が時や世界の様々な境界を行き来するひとの機微をも映し出すものとなった。なにより彼女のアコーディオンの息づかいはすごく歌うようになった。(それはテクニックと呼ばれる指先の遊びとは程遠い)

デュオで演奏すること、そしてそのスペースにこれほど自覚的に、弓や指輪までも駆使し、コントラバスひとつでできることを探究する、清水恒輔はmama! milk の姿勢を静かに示すともに演奏する者の響きに応えながら、一音一音大切に弾く。

このアルバムには彼らの音楽を理解する4人の音楽家が迎えられている
つかずはなれずの距離感で抜けば玉散る音で彩をそえる、トウヤマタケオのピアノ
酩酊前の淡い夜の闇へと誘うような、井登友一のトロンボーン ( “two ripples” のフルート!)
ミラノよりテルミンをもって参加した、Gak Satoの演奏は彼らのサウンドにゆらぎ・暖かみ・ふくよかさを加えている

リトル・クリチャーズ/ダブル・フェイマスで活躍する栗原務のこれほどストイックで 男気溢れる演奏はそうそう聴けません

mama! milk の二人が確信犯的に招いた4人は全員、互いに心の丈を高め合うことができる同志であろう
数年に渡る奥ゆかしい逢瀬の跡、えにしがあってここで演奏しているという印象が深まる

アートワークの装いには素材選びからプロダクツの製造行程に徹底的にこだわる DRAFT/D-BROSの植原亮輔を迎えます

山崎円城、ジーナ&クリス、豊嶋義之、Gak Sato とのコラボレーション・アルバム Ego-Wrappin、Tsuki No Wa、二階堂和美、中納良恵のアルバムへの客演スカ・フレイムスが主催するイヴェンド「Down Beat Ruler」メイン・ステージでの演奏。 2007年にはフランスの奇才・ラムンチョ・マタ( ramuntcho matta) が京都を訪れ、彼らとレコーディング(二枚のアルバム「matta」,「atta」としてまとめられるが、ラムンチョの意向か、一般流通はされていない)そして、生駒祐子は初のソロアルバム「esquisse」をリリースし、金沢・大阪・名古屋・東京で生駒・二階堂和美・トウヤマタケオ・清水恒輔からなる「esquisse quartet」として公演

オリジナル・アルバムのリリースこそなかったが、この数年、彼らのライヴを見ていた方々はこのアルバムに結実する過程を見届けていたことになる。が、ここに記録された音は格段の飛躍を遂げたものといってよいと思う

フランス近代音楽、ニーノ・ロータ、カルロス・ダレッシオ、ガブリエル・ヤーレをはじめとする数々の映画音楽、 Saravah レーベル、Tom Waitsのアイランド三部作、IL Gran Teatro Amaro、 Calexico、Rachel’s、Dirty Three、Tindersticks ・・・といったアーティストたちの作品を愛する好楽家の方々、どうかお聴き逃しのないよう!

前作の一曲目は「august」 いくつかの夏が花火の残り香とともに去り、 再び巡ってくる秋の日最初の一日に4枚目のアルバムはリリースになる