
mama!milk 秋の演奏会「Duologue」
2024年10月5日
[京都] 京都文化博物館・別館ホール The Museum of Kyoto
mama!milk 秋の演奏会
「Duologue」
アコーディオンとコントラバスのデュオローグ
音楽|
mama!milk
演奏|
アコーディオン 生駒祐子 Yuko Ikoma
コントラバス 清水恒輔 Kosuke Shimizu
照明|
藤本隆行 Takayuki Fujimoto, Kinsei R&D
写真撮影|
井上嘉和 Yoshikazu Inoue
宣伝美術|
南知子 Tomoko Minami, stompdesign
Note 1. Lighting design
「反射」text by 藤本隆行 ( 照明デザイナー )
「音」はもちろん、見えない。
そして光も、当然のことながら、その光が眼に入らない限りは、見えない。
眼に入ってくる光が何もなければ真っ暗なのだけれど、よほど特殊な状況でなければ、何某かの光源が常に私達の周りにはあって、薄ぼんやりとではあっても何かが見えている。この際に見えているのは、それらの光源ではなくて、そこから出た光が何物かに反射した、その反射光を見ている。
これは実は私達が日常体験していることなのだけれど、空間を横切っている光自体は見えない。その光の軌跡上に手などを差し出すと、それに当たった光が乱反射して、一部が眼に入ってそこを光が横切っているのを認識する。
例えば、ユニークな建物の中で演奏する二人の音楽は、その空間に独特な音の反射で観客の耳に届き、それらは少しの時差や耳への入射角の差を伴いながら認識される。そして同じくその姿かたちは、その建物を構成するエレメントに反射する光と、奏者二人(とそして楽器)の形と動きに伴う反射光が交わって、渾然となって目に映る。
面白いのは、人と楽器の姿形は、二人が舞台に立つことが多いからというのもあるけれど、様々な方向・角度・色の反射像を見慣れているのだけれど、建物の像はそうではない。その構成要素それぞれが、普段と違う角度から差す光と波長(色)を反射して、見慣れない姿を現す。
その演奏から生まれる「音」が、建物全体の響きによって独特なものになるように、二人の姿を含めた光景も、あたり前のことだけれど、光の反射と明滅でその空間の中でのみ生起する物事になる。そしてそれは、その場でしか起こり得ないということで、二人と場所によって、音と光が一体になっていると信じている。
Note 2. Graphic design
「Duologueのこと」text by stompdesign 南知子(グラフィックデザイナー)
出会いは2006年。
まずはその圧倒的な美しさと強靭さ、怖いくらいのストイックさに憧れながら、デザインを通して長い長い会話を続けてきたような気がする。
大胆に螺旋を描いて空に登っていくかのような、所謂「盛り上がるフレーズ」よりも、ここ数年は、細く細く途切れることなくこぼれ落ちる水のような、微かに真っ直ぐに立ち上る煙のようなアコーディオンの音、ますます多彩にノイズになったり鳥になったりいっそ自然そのものみたいになったりするコントラバスの音に心を奪われ続けている。
深く深く、体内に染み込むような音色と楽曲の美しさが際立っている。
音楽をともすれば屈服させるような姿もとても美しかったのだけど、最近は彼らが音楽または楽器そのもの、それか楽器も息をしているみたいに感じる。
相変わらず、揺るぎなく揺らぎ続けているが、より自由というか自然というか一体化というか。
大作「Charade」からはより一層華やかな編成で、行き交う音が幾重にも重なっては去っていく様子とその高揚感は忘れ難く鮮烈だったが、ここに来て、今年の京都文化博物館ではアコーディオンとコントラバスだけのデュオでやるという。
タイトルは「Duologue」。
そのタイポグラフィは、今までと全く違うものになった。
これまでずっと、とにかく美しく、クラシカルでありアナログでありリリカルでもある「完璧な曲線」を以て「mama!milkの音楽みたいな」かたちを探し組み立てていっていたのが、この「Duologue」は、完璧な曲線を捨て、装飾を捨て、生々しい息継ぎや、鼓動や零れそうな血液や溢れてしまった体液などで組み立ててみた。
mama!milkの音楽みたいな、というのは変わっていないが、そのmama!milkの音の変化に影響を受けたのです。
録音|
浜田純伸 Suminobu Hamada
伊藤豊 Yutaka Ito
技術協力|
吹田哲二郎 Tetsujiro Suita
協力|
京都市立芸術大学 Kyoto Citiy Univercity of Arts
(株)イトウ音楽社 Ito Ongakusha Inc.
制作協力|
(株)アクティブ ケイ Active KEI Inc.
主催|
MUSICA MOSCHATA
協力|
山本アキヒサ えいや golem la forgerone
▶︎公演詳細
2024年10月5日 mama!milk 秋の演奏会「Duologue」
出演
mama!milk
Yuko Ikoma, Accordion
Kosuke Shimizu, Contrabass