Concert at Art Gummi Kanazawa, 2022 mama!milk

[Digital]
[ DIGITAL ] MMD2308
2023年8月6日 配信開始

[収録曲]

1. Veludo
2. the moon
3. kujaku
4. Melody from Bukhara
5. Amber
6. Peonia
7. Gala de Caras
8. sanctuary
9. A Phosphorescence
10. Charade

Produced by mama!milk
All compositions written by Yuko Ikoma
Except : ‘Melody from Bukhara’ is Uzbekistan Traditional


[演奏]

mama!milk “Charade” ensemble
生駒祐子 アコーデオン
杉原圭子 二胡、アジアンパーカッション
曽我大穂 フルート、カバキーニョ etc…
清水恒輔 コントラバス


Recorded and Mixed by
Kanebon

Recorded at
アートグミ金沢  (旧北國銀行 武蔵支店)
2022年10月2日

Cover Photo 方野公寛
Art Work 南知子 (stompdesign)

Concert Organized by
白鷺美術


そして現行している驚喜
南知子 (stompdesign)

できれば目を閉じて、窓があれば開けて聞いてほしい。
耳から入り、体を満たし、じきに溺れる
美しい旋律、音色の洪水に。
そして多種多様・多国籍な様々の楽器の音の
粒状だったり液体だったり煙のようだったりするのが
流れたり砕けたりする様を、誘われるままに辿っていると
四方に壁が生えてきて、箱の真ん中に自分が居る。
出現したのは万華鏡の内のような幻燈小屋、私のシェルターだ。
小屋の中は美しいもので一杯で、一歩も動かない私を遥か遠くに連れて行く。
森の中かと思えば、星降る砂漠、白い石壁のオアシス、長い長い坂を下る自転車
断崖に立つのは会いたかった人の幽霊、
悠久の大河のほとりで風に吹かれ、異国のバザールで交渉し、
石畳を行くパレードを見送って、テントの中でお茶を飲む。
螺旋階段をゆっくり上がる大きな鳥について行き
蝋燭の灯りで手紙を読む。窓の外の夜は、終わるところか始まりかしら。
満ちたり引いたりする音に揺蕩っていれば
自分勝手に癒されたり慰められたり奮起したり妄想の旅に出てみたり。

ライブレコーディングとはこういうものかと改めて思う。
演者の息遣い、鳴っていない楽器の気配まで空気ごと録音されているみたい。
その生々しさとは裏腹に、この世の美しいもの、というよりは
この世は隅々まで美しいのだと力強く誤認させてくる
きれいなだけでなく、非常に能動的だ。大事なのは
数々の実しやかな幻を引き起こすこのクリエイションが紛れもなく実在している。
編成を変え、場所を変え、新しいメロディを、試みを生み出し変化してゆく。
この先、何度となくこのシェルターに助けられるだろう。
それは毎月のように何処かの街で演奏されている。
繰り返し咲く花のように。