塩田千春展「鍵のかかった部屋」× mama!milk「2台のコントラバスと古い扉とアコーディオンと無数の鍵による組曲」の御礼を申し上げます。
いよいよ秋が深まってきましたね。
先日のKAAT神奈川芸術劇場での本公演へお越しくださいました皆様、
感想などメッセージをお寄せくださいました皆様、
ありがとうございました。
そう、この展覧会が開催されたのは、春のあの舞台「夢の劇」で私たちが毎日稽古に励んでいた中スタジオでした。
劇場の稽古場スタジオでの美術の展覧会。
そして美術作品そのものを舞台とした幾つかのパフォーマンスの公演。
(まったく、KAATはなんて楽しい劇場でしょう!)
ですから、塩田さんが今回の作品を舞台美術としても生きるように構成されたのと同じように、
mama!milkも「鍵のかかった部屋」の架空の物語を思い、一つの舞台音楽として、KAATのテクニカル・スタッフの方々と一緒に演奏させていただきました。
完成したばかりの作品の古い鍵や古い扉の録音をしたり、
一人になって作品を思いながら、つまりどうしたって思い起こされてしまう幾つもの小さな痛みを受け入れながら曲を書いたり、劇場へ帰ってみんなで色々あわせたり。
そして、本番。
「鍵のかかった部屋」は、酒井幸菜さん、平原慎太郎さんのダンス公演の余韻も含んでさらに大きくなっているよう。
私たちも、あらゆる記憶、あらゆる感情 …美しいものも醜いものもさらけ出されるままに受容する空間で、自由に、自然に、あるがままに演奏させていただきました。
それは、新しい飛翔の感覚が解き放たれるような出来事でした。
あれから、一柳慧さんのプロデュース公演を最後に、塩田千春さんの作品の展示は終わりました。
「鍵のかかった部屋」が儚く消えてしまうのは寂しいことですけれど、また一つ、大切な記憶ができたことを嬉しく思います。
本当にありがとうございました。
お越しくださいました皆様へ、そしてこの機会をくださいました白井晃さん、小沼知子さん、中野仁詞さんはじめKAATの皆様へ、心よりお礼を申し上げます。
生駒祐子( mama!milk )
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どうして2台のコントラバスと1台のアコーディオン …ちょっと風変わりなアンサンブルだったのか?
私も、まだ言葉にできません。
ヴェネチアで塩田さんの前作「掌の鍵」を体験した時に見えた記憶の音色のようにも、白井さんの幾つもの舞台作品の中で聞こえていた音色のようにも感じています。
mama!milkの冒険を支えてくださいました、DEE’S HALLの土器典美さん、HADEN BOOKS:林下英治さんへも、お礼を申し上げます。
2016年10月8日(土) [ 横浜 ] KAAT神奈川芸術劇場
□ 音楽:mama!milk
□ 演奏:清水恒輔, コントラバス
守屋拓之, コントラバス
生駒祐子, アコーディオン
□ 無数の鍵と古い扉:本村実、阿部頼子(編集・PA)
□ 衣裳:前濱進作(golem)
□ 記録撮影:西野正将(映像)
□ 照明:大石真一郎
□ 舞台監督:高橋淳一
□ 音響:本村実
□ プロダクション・マネジャー:堀内真人
□ 広報:田嶋舞野
□ 制作:小沼知子
□ 制作統括:崎山敦彦
□ 館長:眞野純
□ 芸術監督:白井晃
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第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展日本館 帰国記念展
塩田千春「鍵のかかった部屋」
□ 展覧会企画・構成:中野仁詞
□ 主催・企画製作:KAAT神奈川芸術劇場